キャリアマップでキャリアの進展を補助する
2024.02.25
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
従業員にはそれぞれが求めるキャリアがあります。
自分でキャリアを切り開ける人もいれば、周囲からのサポートが必要な人もいます。
今回はキャリアの進展を補助するツールとしてキャリアマップを紹介します。
キャリアマップとは?
キャリアマップとは、組織内で各従業員がキャリアのどの位置にいるのか、最終的にどこをゴールとして目指すのか、どんな経路でゴールに向かのかについてまとめ、マネージャーと従業員で認識を合わせながらキャリア開発を進めるためのコミュニケーションツールです。
キャリアマップとキャリアパス、キャリアラダーとの違い
キャリアマップとキャリアパス、キャリアラダーはキャリアの経路を取り扱う点について似ていますが
- キャリアの経路を提示するツール
- 全体のキャリアの経路を提示するツール - キャリアパス
- 特定の職種におけるキャリアの経路を提示するツール - キャリアラダー
- キャリアの進展を補助するツール - キャリアマップ
というような差があります。
キャリアマップの運用方法
キャリアマップはマネージャーとメンバーの間で以下のように運用します。
- キャリアゴールの選択
- 現在地の把握
- キャリアゴールへの経路の選択
- 次のステップに向けた活動
1 キャリアゴールの選択
最終的に到達したいキャリアゴールを選択します。
なお、キャリアのゴールを明確に持っている人もいれば、ある程度の方向性だけ決まっている人もいます。
どちらのケースも自社で選択可能なキャリアで考えるとどれにあたるのかを認識合わせできるとよいでしょう。
例えば
- CIOになりたい
- 社内の情報システム関連のマネジメントパスの最上位がゴール
- 特に具体的になりたい固有の役割はないが、専門性を活かしつつできるだけ大きな価値を生み出せるようになりたい
- 専門家向けのキャリアパスの最上位がゴール
- 全体の方針や、戦略よりは、ある程度直接の顧客や手を動かす業務に近い範囲に関わり続けたいという
- ロワーマネジメントやハイスキルな専門家としてのキャリアパスの中間がゴール
などのようなパターンです。
なお、新卒・若手等の場合、そもそもマネジメント方面に進みたいのか、専門家方面に進みたいのか、現在の職種が適職なのかなど迷っている段階の方もいると思います。その場合は、自己分析を継続しつつ、最終ゴールは定めず、まずは一人前段階を暫定ゴールとして選ぶのが無難でしょう。
2 現在地の把握
目指すゴールが決まったら、次は現在地の把握です。
人事評価制度・等級制度が存在する場合、すでに現在地は明らかでしょう。
それらが未整備の場合は、マネージャーとメンバーのコミュニケーションによって現在地を明確にします。
3 キャリアゴールへの経路の選択
キャリアゴールと現在地がわかったら、その間の経路を選択します。
職種によって経路はほぼ一本道の場合もあれば、多様な経験を得るために多様な経路が存在する場合もあるでしょう。
例えば、アプリケーションエンジニアとして
- ウェブ
- モバイル
- インフラ
のすべてを経験しておきたいと考えている場合、どこから経験するかは一本道ではありません。
この場合、理想が「フルスタックなテックリード」が目指すキャリアで、現時点は「ジュニアなウェブエンジニア」だった場合
- ジュニアなウェブエンジニア
- 一人前のウェブエンジニア
- 一人前のインフラエンジニア
- 一人前のモバイルエンジニア
- ウェブのテックリード
- モバイルのテックリード
- インフラのテックリード
- フルスタックなテックリード
のような経路がありえます。
4 次のステップに向けた活動
次のステップアップに向けて以下のような活動を繰り返しつつ、マネージャーと進展状況を継続的に話し合います。
- 次のゴールに必要な要素を把握する
- 能力開発の計画を立てる
- 必要な能力開発が完了するまで以下を繰り返す
- 任意の能力開発を実施する
- 任意の能力が身につく
- 任意の能力が習得できたことを確認する
- 必要な能力開発が完了するまで以下を繰り返す
- 次のゴールに到達する
- キャリアステップが1段階進む
「現在地の把握」と同様に、人事評価制度・等級制度やそれを元にした成長に関する目標管理がある場合、その際に話し合って設定する目標の内容は能力開発の内容と重なるものになります。
補足
- キャリアの進展には変化がつきものです。キャリアが想定通りに進むとは限らないことや、選べる選択肢も変化するため、必要に応じて経路の変更は随時行っていきます
- キャリアマップをもとにキャリアのマイルストーンを設定する利用法もありますが、昨今の変化が激しい世の中であまり先まで決めておいても無駄になることも多いと考えられるため今回は言及していません。ゴールまでの道のりを大枠で把握しつつ、フォーカスして掘り下げるのは1つ先のステップに留めるのがおすすめです
- すべての人がキャリアの進展を望んでいるとは限らないため、あくまでキャリアの進展を望んでいる人に向けたツールです。キャリアの進展を望んでいない人に実施すると意欲を下げることすらありえます
- 本人が求める未来とキャリアのゴールに不一致がある場合、その点について認識合わせをしましょう。例えば「現在の所属企業で年収1500万円以上を稼ぎたいが、マネジメントや専門領域におけるリーダーシップが必要な仕事を一切したくない」という場合、現実的に所属企業内でその未来が実現困難であることを伝えるケースなどです。
まとめ
キャリアの進展を補助するツールとしてキャリアマップを紹介しました。
キャリアに求めるものは個別に異なるため、一律の対応とは限りません。
一方で、キャリアマップのようなツールを用いることである程度は共通の枠組みを活用してサポートしやすくなります。
社員がやっていきたいことと、組織にとって必要なことを重ねるためにもキャリアの支援を継続していきましょう。